25日の日経に「銀行保険窓販 融資先従業員への解禁」(4面)という記事がありました。
金融庁は、銀行による保険商品の窓口販売規制の一部を緩和する方針を固めた。
とのことです。
昨年、10月に「銀行の保険窓販~3年目の見直し」というエントリでも、ご紹介しましたが、銀行で保険を販売するにあたっては、お金を貸していたり、顧客のさまざまな情報を持っていると考えられるため、「弊害防止措置」という規制の上で、行われており、販売開始から3年を目処に見直しが行われることになっていました。
本来、3年目にあたる昨年12月には、見直しがなされるはずが、半年遅れでようやくまとまったということです。
新聞では詳細はわかりませんが、4つの弊害防止措置(1、融資先販売規制 2、担当者分離規制 3、タイミング規制 4、非公開情報保護措置 詳細はこちらをご参照)のうち、問題点が指摘されてきた融資先販売規制なかで、50人以下の法人の従業員は販売禁止としていた項目を20人以下に緩和したようです。
また、「貯蓄性のある一時払い終身保険などを禁止の対象から除く」とのこと。
概ね、想定された改正内容ですが、「弊害防止」という法の趣旨からは外れてきたなぁ、というのが率直な印象です。
貯蓄性のある一時払い終身保険は、今では個人年金以上に銀行窓販の主力商品であり、銀行が法人オーナーに最も販売したい、と考えてきた商品です。その解禁(実現すれば)は、他に多少規制があったところで、銀行にとっては大勝利といった項目でしょう。
金融庁からすれば、すでに同様に貯蓄性のある個人年金の販売は認めており、掛け捨てでない貯蓄性のある保険であれば途中解約しても、顧客に損はない、といったお考えなのでしょうか。これを認めるのであるならば、商品は全面解禁してもかまわないんじゃないの?という気もします。
また、従業員への販売規制は、50人以下から20人以下に緩和されたとはいえ残りました。
こちらは、いまどき、銀行から頼まれたからとはいえ、従業員に保険加入を強要できるのか、と考えると不要な規制では、むしろ、入りたい保険加入をこの規制のために断れたりと、逆の意味で弊害とならないか、という気がしています。やはり、従業員への販売規制をするならば、オーナーとその家族への販売規制をかけた方が、法の趣旨にかなうでしょう。
結局、弊害防止措置も、構成員契約規制と同様に、消費者保護ではなく、保険会社と銀行との間で、どこまで解禁するか、という話し合いの結果の産物。つまり、保険会社のセールスレディさんの既得権をどこまで守るかが、ポイントになっている、と考えれば納得がいきます。
なるほど、セールスレディさんが職域として囲っている企業に銀行にはいってきてほしくない。また、ほとんど販売していない貯蓄性の高い一時払い終身保険などは、販売を緩めてもかわまない。そんなところでしょうか。
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