中国の地下経済
著者の富坂聡氏は、週刊文春出身のジャーナリストですが、断片的に結構面白いものを書くなぁ(『平成海防論』とか)と思っていたのですが、きちんと読んだことがなかったのですが、薄い新書が出たので買ってみました。
「地下経済」というタイトルですが、地下経済そのものやその仕組みは特に目新しい記述はありません。日本でも同じようなものはあるえあわけで(ただ、もともと地下経済関連の情報を知らない方には面白いと思います)、地下銀行ひとつとっても、中国に送金するわけですから、日本にも地下銀行はあるわけで、アンダーグラウンドマネーというのはどこの国にもあるもの。ただ、まぁ、中国だけにやたらと規模がでかい。そういや、プーチン以前のエリツイン時代のロシアも地下経済の方が表の経済よりでかいなんで話もありました。ただ、そういう意味では目新しさはない。
それよりも、へぇ、と思ったのは、中国石油や銀行をはじめとする「央企」と呼ばれる国営巨大企業が強大な利権を持っていて、先般の中国の巨額の財政支出もあって、一層格差が広がっているという話。
中国の金持ちはもはや日本の比じゃないなんて話はよく聞きましたが、なんとなく、中国も資本主義化してきたので、一番儲かっているのは、中国の民間企業なんだろう、と勝手に思っていました。
ところが、中国で一番儲かっているのは、巨大国営企業なんだとか。
かつては、確かに、民間が良かったんだそうすが、2008年の世界経済危機をきっかけに、民間企業が没落。中国政府が巨額の財政支出で、景気回復を図りますが、必然的に、国営企業を中心に国の資金が回っていったのが原因とか。
それと、重慶市で、地下経済に対して大きな取締りが行われたことは日本でも報道されましたが、その辺りの裏話とか。
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